東京銀座クリニック
 
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水素の抗がん剤副作用軽減作用について

水素ガスは、活性酸素のうち正常組織にダメージを与えるヒドロキシラジカル(・OH)を消去しますが、生体防御や細胞機能に重要な働きを持つ活性酸素のスーパーオキシド(O2-)や過酸化水素(H2O2)は消去しません。
抗がん剤治療中は体内でヒドロキシラジカルが大量に発生し、これが肝臓や心臓や腎臓などの諸臓器の機能を低下させ、免疫力や治癒力を低下させる原因になっています。さらにヒドロキシラジカルはがん細胞の悪性化を促進します。
水素ガスを体内に取り込むことは、抗がん剤の副作用軽減に有効です。

がん治療は酸化ストレスを増大する

抗がん剤の中にはフリーラジカルの破壊力を利用して、がん細胞の核のDNAを破壊し、がん細胞を死滅させるものが多くあります。放射線ががん細胞を殺す力も、放射線が体内の水分と反応して発生する活性酸素によるものです。
このような放射線や抗がん剤により発生するフリーラジカルはがん細胞にだけ作用すればよいのですが、そのように都合よくはいきません。正常な細胞にもフリーラジカルによる障害が及び、DNAの変異を来します。これが、「放射線や抗がん剤は発がん剤」という矛盾を生む理由なのです。抗がん剤治療や放射線治療の後に新たながん(2次がん)の発生率が高まることは多くの研究で確かめられています。
正常な細胞や組織が障害を受けて機能が低下すると、体の抗酸化力や免疫力や体力も低下します。抗がん剤や放射線治療の副作用の最も大きな原因は、これらの治療が正常細胞に酸化ストレスを増大させるからです。
手術による組織や臓器の切除は炎症を引き起こし、傷が治る過程で活性酸素やフリーラジカルの産生が高まります。手術によって体力や栄養状態が低下すれば、体の抗酸化力も低下します。すなわち、手術も酸化ストレスを増大させる原因になります。
このように、抗がん剤や放射線や手術などのがん治療は、酸化負荷を増大し、抗酸化力を低下させ、その結果、酸化ストレスを増大させます。
酸化ストレスの増大は、DNA障害によって遺伝子変異を引き起こし、がん細胞の悪性進展を促進します。がん細胞が酸化ストレスを受けると、NF-κBやAP-1という転写因子が活性化されることが知られています。転写因子というのは遺伝子の発現をコントロールする蛋白質です。特にNF-κBやAP-1という転写因子は、がん細胞のアポトーシスを抑制する蛋白質を産生して、抗がん剤や放射線治療に対する抵抗性を高め、がん細胞の増殖や悪性化を促進します。
さらに蛋白質や脂肪を酸化して細胞の機能を障害し、組織や臓器の機能の低下を招いて、がん細胞に対する抵抗力や免疫力を低下させます。すなわち、酸化ストレスの増大は、がん細胞を悪化させ、さらに体の治癒力や免疫力を低下させるので、がん細胞の増殖・悪性進展や転移・再発を起こしやすくするのです。(下図)

図:細胞内において、フリーラジカルや活性酸素による酸化負荷から抗酸化酵素や抗酸化物質などによる抗酸化力(防御・消去・修復作用)を差し引いたものが酸化ストレスとなる。酸化ストレスは、がん細胞に対して増殖促進(プロモーター活性)とDNA変異を引き起こしがん細胞の悪性化を進展する。さらに生体構成物質の障害や機能の低下は免疫監視機構を障害してがんの転移や再発を促進する。抗がん剤や放射線や手術などのがん治療は、酸化負荷を増大し、抗酸化力を低下させる欠点がある。

抗がん剤や放射線による治療中の抗酸化性物質の摂取には、副作用を軽減して抗腫瘍効果を高めるという意見と、治療効果を妨げる可能性を指摘する意見が対立していて、コンセンサスが得られていません。
抗がん剤や放射線治療に抗酸化剤を併用して抗腫瘍作用を高める場合は、その抗酸化剤(anti-oxidant)が酸化剤(pro-oxidant)として働くためという言う意見もあります。一般に抗酸化剤は状況によっては酸化剤として作用するため、がん治療中の抗酸化性物質の摂取については今後の研究結果を待つ必要があります。
しかし、抗がん剤や放射線治療の副作用を軽減し、抗腫瘍効果を高める効果が示された抗酸化剤(水素分子、αリポ酸、セレン、メラトニンなど)もあります。また、がん治療が終了した後は、がんの再発や2次がんの発生の予防に、酸化ストレスを軽減させることが有用だと考えられています

水素の抗がん剤副作用軽減作用について

シスプラチンは多くのがんに効果がある抗がん剤ですが、腎臓毒性が用量制限毒性(dose-limiting toxicity)となっており、腎臓障害が発生すると十分な量を投与できなくなります。
シスプラチンは腎臓細胞のミトコンドリアのダメージを引き起こして活性酸素のヒドロキシラジカルの産生量を増やし、このヒドロキシラジカルによって腎臓細胞が酸化障害を受けることが腎毒性の主な原因になっています。
一方、シスプラチンは細胞における還元型グルタチオンの産生量を減少させるので、細胞の抗酸化力が低下し、腎臓が酸化障害によるダメージを受けやすくなります。このように、ヒドロキシラジカルを主体とする活性酸素による酸化ストレスの増大が、シスプラチンの副作用の原因になっています。
ヒドロキシラジカルのスカベンジャー(消去物質)は、シスプラチンの腎臓障害を軽減できることが動物実験で示されています。
水素分子はヒドロキシラジカルを強力に消去する活性を持っています。水素分子の投与が、シスプラチンの抗腫瘍効果を弱めることなく、その腎毒性を軽減することがマウスを使った実験で報告されています

Molecular hydrogen alleviates nephrotoxicity induced by an anti-cancer drug cisplatin without compromising anti-tumor activity in mice.(水素分子は抗腫瘍効果を弱めることなく、抗がん剤シスプラチンによる腎臓毒性を軽減する)Cancer Chemother Pharmacol. 64(4):753-61. 2009

目的:
シスプラチンは多くのがんの治療に広く使用されている抗がん剤であるが、シスプラチンの投与は酸化ストレス増大による腎臓毒性によって制限されることが多い。私たちの研究グループは水素分子(H2)が抗酸化剤として有効であることを報告してきた。(Ohsawa et al. in Nat Med 13:688-694, 2007)。この研究では、酸化ストレスを軽減する効果によって、水素分子がシスプラチンの抗腫瘍効果を阻害することなく、副作用を軽減することを明らかにした。

方法:
マウスにシスプラチン(腹腔内に17mg/kg)を投与した後、水素を1%含有する空気の充満したケージで飼育した。また、水素含有ガスの吸入の代わりに、水素水(0.8mMのH2を含む水)を自由に飲用させた。有効性は、酸化ストレス、死亡率、体重減少について評価して対象グループと比較検討した。腎臓障害の程度は、腎臓の病理学的所見、血清クレアチニンと尿素窒素(BUN)の測定によって評価した。

結果:
1)水素の吸入は、シスプラチンによって引き起こされる死亡と体重減少を改善し、腎臓障害を軽減した。
シスプラチンを17mg/kg1回投与したマウス(対象群)は、シスプラチン投与2日目から死亡し始め、6日目の生存率は60%であった。一方、シスプラチン投与後1%水素含有空気の充満したケージで飼育したグループ(水素投与群)では、5日目まで生存率は100%で、9日目の生存率は80%であった。
シスプラチン投与3日後の体重減少は、対象群が9.7%で、水素吸入群が3.5%であった。
シスプラチン投与72時間後には、血清クレアチニンと尿素窒素は約2〜4倍に上昇した。シスプラチン投与72時間後の血清クレアチニン値の平均値は、対象群が9.6mg/Lに対して水素吸入群は5.7mg/L、尿素窒素(BUN)値の平均は、対象群が863mg/Lに対して水素吸入群は477mg/Lであり、1%水素含有空気の吸入によって腎臓障害の軽減を認めた。

2)水素水の飲用で水素を体内に投与できる。
水素分子は水に溶解し、0.8mMの飽和濃度に達した。血中の水素濃度を測定するためには数mlの血液が必要なので、ラットを用いて、水素水の飲用で水素が血中に移行するかどうかを検討した。水素水をラット1匹(230g)当たり3.5mlを胃内にカテーテルで注入し、3分後に血中の水素濃度を測定した。血中の水素濃度は、食後投与で3.7倍、空腹時投与で7.6倍に上昇した。すなわち、水素水の飲用で、体内に水素分子を投与することができることが示された。

3)マウスにシスプラチン投与後、水素水を自由に飲用させると、酸化ストレス、死亡率、体重減少が改善した。
腎臓における酸化ストレスの評価として、脂質の過酸化によって生じるmalondialdehyde (MDA)の量を測定した。シスプラチン投与によって腎臓組織のMDAは約1.5倍に上昇したが、水素水を飲用した群では正常レベルに低下した。
水素水の飲用は、病理学的検査で腎臓細胞のアポトーシス(細胞死)の減少を認め、血清クレアチニンとBUNで評価した腎臓障害も軽減した。その効果は1%水素含有空気とほぼ同じレベルであった。

4)水素水はシスプラチンの副作用を顕著に軽減したが、シスプラチンの抗腫瘍効果は弱めないことを、培養細胞を使った実験(in vitro)と移植腫瘍マウスを使った実験(in vivo)で確認した。

結論:
水素はシスプラチンの副作用を軽減するので、抗がん剤治療中の患者のQOL(生活の質)を改善する効果が期待できる。

【注釈】
シスプラチンは白金製剤で、細胞分裂しているがん細胞のDNAにダメージを与えて抗がん作用を発揮します。この抗がん作用には水素分子は何ら影響を及ぼしません。
シスプラチンはSH(sulph-hydryl)基に親和性があるため、SH基を持っているグルタチオン(GSH)の枯渇を引き起こします。その結果、抗酸化力が低下し、活性酸素、とくにヒドロキシラジカルが蓄積して、腎臓障害を引き起こします。シスプラチンは主に腎臓から排泄されるため、腎臓に最もダメージを与えます。
DNAにダメージを与える抗がん剤は、通常は細胞分裂している細胞(骨髄細胞、腸粘膜細胞など)にダメージを与えて副作用を引き起こします。しかし、抗がん剤治療によって活性酸素の産生量が増えたり、抗酸化力が損なわれると、分裂をしていない細胞にも酸化障害によってダメージを与えます。
多くの抗酸化剤(ビタミンE、ビタミンC、セレン、カロテノイド、メラトニンなど)がシスプラチンの腎臓毒性を軽減する効果があることが動物実験で確かめられています。水素分子は、これらと比較して、より高い効果が期待できます。
その理由は、水素はヒドロキシラジカルのみを消去し、スーパーオキシドや過酸化水素には作用しないからです。ヒドロキシラジカルは細胞傷害を引き起こす有害な活性酸素ですが、スーパーオキシドや過酸化水素は、正常細胞の増殖やシグナル伝達や、生体の防御機構にも重要な役割を果たしています。したがって、水素は抗がん剤による酸化ストレスを軽減する理想的な抗酸化剤と言えます。
αリポ酸やセレンやコエンザイムQ10などの抗酸化剤のサプリメントの摂取に加え、水素ガスの入浴、水素水の飲用や点滴、水素ガス吸入は、抗がん剤の副作用軽減に極めて有用です

家庭で水素ガスが安全に使える発泡水素材が開発されました。

首都大学東京と日本のケミカルメーカーによる産学公連携の研究で、世界に類を見ない発泡水素発生材が開発されました。分子状水素ガス(H2が大量に発生します。
水素ガスが目で確認でき、家庭で安全に使える世界有数の化学製品です。
この発泡水素発生材の特長は、素材は全て食品添加物で調合され、お湯に沈めるだけで始まる化学反応で、純度99.9%の分子状水素ガス(H2)を1グラムあたり500ml〜600mlと大量に発生させます。

これが発泡水素材です。
写真の30gで、市販の500ml水素水の4400本分の水素ガスが発生します。
発砲水素発生材をお湯に入れると、水素ガスが大量に発生します。

自宅のお風呂で水素浴!

発泡水素発生材をお湯に入れるだけで分子状水素ガス(H2)が大量に発生し、風呂桶いっぱいに、水素を豊富に溶存させたお湯を作ります。
この水素浴で、水素ガス分子は、皮膚や肺から血液に入り、全身の細胞の中へ素早く届き、体内の有害な活性酸素ヒドロキシラジカルを消去し、酸化ストレスを軽減します。

発泡水素材の登場で、水素は飲むから、浴びる・吸引することが可能になりました。

水素ガス+入浴の相乗効果

毎日の快適な入浴は疲労回復と心身のリフレッシュに有効です。体が温まると血液循環がよくなります。血液循環が良くなると栄養物質や酸素の供給や老廃物質の運搬が促進されます。血液中の疲労物質「乳酸」の量を測定すると、入浴後には入浴前の3分の1に減っていたという研究結果もあります。
39〜41℃程度のぬるめのお湯でゆっくり温まると疲労回復が早まります。このような入浴による血液循環や新陳代謝の活性化の効果に、水素ガスによる酸化ストレス軽減効果が加わると、回復力や自然治癒力が相乗的に高まります。

ご使用方法:

1袋に30グラムの発泡水素材が入っています。素材は全て食品添加物の調合材で仮に口に入っても体に害は及ぼしません。 発泡水素材をお湯に入れて水素発生の反応が起こる初期には袋の表面温度は水中で65℃前後になります。水面に出ると表面温度は80℃以上の高温になります。したがって、直接触れると火傷を起こすので、専用の容器に入れて使用します。30〜90秒を過ぎると反応は安定し、表面温度は45℃以下に下がります。

ご購入について:

発泡水素材(30g)12個入り:6300円(消費税込み)
専用容器:525円(消費税込み)

購入ご希望の方はメール(info@f-gtc.or.jp)か電話(03-5550-3552)でお問合せ下さい。
代金引換えの宅急便(ヤマト)でお送り致します。送料と代引き手数料が加算されますので、ご了承下さい。

酸化ストレスを軽減する方法

酸化ストレスを軽減する方法は、水素ガス風呂(入浴+吸引)や水素水飲用や点滴の他に、以下のような食事療法やサプリメントや漢方薬なども有用です。

1)赤身の肉や動物性脂肪の多い食事ががんの発生を促進する一番の原因は、これらの食品が体内で活性酸素やフリーラジカルを発生させる原因になるからです。野菜や果物ががんを予防するのは、活性酸素やフリーラジカルを消去する抗酸化物質が多く含むからです。穀物も精白したものよりも未精白の全粒穀物(玄米など)ががん予防に推奨されている一つの原因は、精白で除去される胚芽や糠の中に、抗酸化作用のある成分が多く含めれているからです。
野菜や果物や豆類や全粒穀物のように植物が含む抗酸化成分をまとめて摂取することは、がんや老化の予防に効果があることは多くの研究が支持しています

2)体の抗酸化力を高めるためには、抗酸化物質(ビタミンC,ビタミンE,ポリフェノールなど)を取り入れえるだけでなく、体に備わっている抗酸化酵素(活性酸素消去酵素)の働きを高めることも大切です。種々の微量元素が抗酸化酵素の活性に必須であり、その中でセレン(またはセレニウム)は過酸化水素を水と酸素に分解するグルタチオン・ペルオキシダーゼの活性に必要です。セレンを補充することは、体の抗酸化力を高め、老化やがん予防に効果があることが明らかになっています。
セレンを補充すると抗酸化力のみならず免疫力も高まってがんの再発を遅らせる効果が報告されています。抗酸化力を増強するため、がんの化学療法や放射線療法の毒性を軽減し、がん治療の効果を高める効果も報告されています。
セレンには抗酸化力増強だけでなく、がん細胞のシグナル伝達系に作用して、細胞増殖を抑え、細胞死(アポトーシス)を誘導する効果があることも最近報告されています。したがって、がんの治療や再発予防においては、セレンを補充することは有効と言えます。
 
3)がんの再発予防が進行がんの症状改善に効果が期待できる抗酸化物質としてコエンザイムQ10(CoQ10)アルファリポ酸があります。
CoQ10 (コーキューテン)は Coenzyme Q10 (コエンザイムQ10)、別名『 ユビキノン 』とも呼ばれる補酵素で、細胞内のミトコンドリア でATP (アデノシン3リン酸)と呼ばれるエネルギー物質の産生過程で働く物質です。細胞の老化の原因である活性酸素(フリーラジカル)の害を防ぎます。細胞内のミトコンドリアの中に入っていけるので、細胞の老化予防に極めて有効な物質です。(くわしくはこちらへ
アルファリポ酸は、活性酸素や一酸化窒素ラジカルなどのフリーラジカルを直接消去し、さらにグルタチオン、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化力を再生します。グルタチオンの合成酵素であるgamma-glutamylcysteine ligaseの産生を高め、グルタチオン産生に必要なシステインの細胞内取り込みを促進し、グルタチオンの産生を高める効果や、フリーラジカルを発生する鉄や銅などのフリーの金属イオンをキレート(結合)することによって活性酸素の産生を抑える効果があります。多くの抗酸化物質は親水性(水溶性)か疎水性(脂溶性)のどちらかの性質しか持ちませんが、アルファリポ酸は、親水性と疎水性の両方の性質を持ちます。したがって、細胞膜でも細胞質でも核でも働き、蛋白質や脂肪など全ての細胞内成分の酸化を抑制します。血液中の物質の酸化も抑制します。
アルファリポ酸は抗酸化作用だけでなく、ミトコンドリアのTCAサイクルを活性化することによってがん細胞のアポトーシスを誘導する作用も報告されています。(詳しくはこちらへ
末期のがん患者さんに、CoQ10やアルファリポ酸などの抗酸化剤を多く投与すると延命効果があることが報告されています

4)漢方薬の原料となる生薬は抗酸化物質の宝庫です。植物は光合成を行うことで生命を維持しています。日光の紫外線の刺激から発生する活性酸素から身を守ることは、植物にしてみれば至極当然のことで、その植物が貯えている物質の中に強力な抗酸化物質やラジカル消去物質を数多く含んでいます。生薬は「抗酸化物質の宝庫」といわれますが、植物由来であるから当然のことなのです。
生薬に含まれる抗酸化物質として、カロテノイドやビタミンC・Eなどの天然抗酸化剤のほか、フラボノイドやタンニンなどのポリフェノール・カフェー酸誘導体・リグナン類・サポニン類などが知られています。

水素ガス浴や水素水飲用や点滴に加えて、上記のような治療法を併用すると、酸化ストレスの増大による様々な疾患の治療に効果を高めます。

ヒドロキシラジカルを消去する水素分子(H2

水素(原子番号1、元素記号H)は、物質を構成する元素としては宇宙で最も量が多いのですが、地球の大気中には1ppm以下の微量しか存在しません。水素分子(H2)は最も軽く、常温では無色無臭の気体で、非常に燃えやすい特徴を持っています。水素は大気中で5%以上になると空気中の酸素と反応して爆発します。酸素と激しく反応するということは、酸化性物質と非常に高い反応性(抗酸化作用)を持つことを意味します。
水素は私たちの体内でも発生しています。すなわち、食品中の非消化性食物繊維を大腸内の腸内細菌が発酵する過程で水素が発生しています。また、水素含有ガスの吸入は潜函病の治療に使用され、人体に極めて安全性が高いことも証明されています。(潜函病はダイバーなどの高気圧環境下にいた人が水面に上がることによって急激な減圧により生体内に生じた窒素気泡によって起こる病気です)

太田成男・日本医大教授(細胞生物学)らは2007年に、水素含有ガスが、体に最も有害な活性酸素であるヒドロキシラジカルを効率よく除去し、脳虚血後の障害を軽減できることを報告しました(Nature Medicine 13: 688-94, 2007)。すなわち、脳の血液の流れを一時的に止め、活性酸素を大量に発生させたラット(虚血再灌流モデル)に1〜4%の水素を含んだガスを吸わせると、脳のダメージが軽減することを明らかにしました。
この研究では、水素は活性酸素のうち細胞障害作用の最も強い活性酸素(ヒドロキシラジカル)のみを消去し、細胞機能にも関与しているスーパーオキシドや過酸化水素は消去しないことを示しています。また、水素は生体膜を拡散し種々の細胞内小器官に浸透しうる(血液脳関門も容易に通過する)ので、活性酸素による酸化障害の治療法として理想的な特徴を持っています。(下図)

パーキンソン病モデルラットを用いた実験でパーキンソン病の発症や進行の抑制効果や、臓器移植後の臓器障害の軽減など、酸化ストレスが関係する病態の治療剤としての有効性が報告されています。
マウスを使った実験で、水素ガスの吸入や水素含有水の飲用によって、抗がん剤のシスプラチンの抗がん作用は弱めずに副作用の腎臓障害や体重減少を軽減できることが報告されています。
酸化ストレスを軽減するので、様々な老化性疾患の予防にも有効です

活性酸素とフリーラジカル

酸素の働きの一つに「酸化」というものがあります。鉄くぎがいつのまにか赤くさびたり、ゴムが古くなると弾力を失ってボロボロになったりするのも酸化の結果です。私たちの体内でも、呼吸によって取り入れられた酸素の一部が「活性酸素」と呼ばれる酸化力の強い分子に変化し、細胞を酸化することによって、がんや動脈硬化など多くの病気の原因となっています。機械もサビついてくると故障が多くなるのと同じことです。
全ての物質は原子からできています。原子というのは物質を構成する最小の単位であり、原子核を中心にその周りを電気的に負(マイナス)に帯電した電子が回っているという形で現されます。
通常、電子は一つの軌道に2個づつ対をなして収容されますが、原子の種類によっては一つの軌道に電子が一個しか存在しないことがあります。このような「不対電子」を持つ原子または分子をフリーラジカル(遊離活性基)と定義しています。
本来、電子は軌道で対をなっている時がエネルギー的に最も安定した状態になります。そのためにフリーラジカルは一般的には不安定で、他の分子から電子を取って自分は安定になろうとします。フリーラジカルとは、不対電子をもっているために、非常に反応性の高まっている原子や分子なのです。そして、フリーラジカルから電子を奪われた物質は酸化されたことになります(下図)。

私たちが呼吸によって取り込んだ酸素がエネルギーを産生する過程で スーパーオキシド・ラジカル(O2-という活性酸素が発生します。ふつうの酸素分子は16個の電子の持っていますが、スーパーオキシド・ラジカルは17個の電子をもっており、そのうち1個が不対電子になりフリーラジカルとなるのです。スーパーオキシド・ラジカルは体内の消去酵素(スーパーオキシド・ジスムターゼ、略してSOD)によって過酸化水素(H2O2)に変わり、過酸化水素はカタラーゼグルタチオン・ペルオキシダーゼという消去酵素によって水(H2O)と酸素(O2)に変換され、無毒化されます。
しかし、スーパーオキシドや過酸化水素の一部は鉄イオンや銅イオンと反応して、ヒドロキシルラジカル(・OH)が発生します。本来、鉄や銅などの遷移金属は蛋白質を結合して存在しますが、炎症が起こっている部位ではこれらの遷移金属はイオンの形で存在するようになり、これら遷移金属イオンが触媒となって、大量のヒドロキシラジカルが産生されるようになるのです。
ヒドロキシルラジカルも一つの不対電子をもっており、その酸化力は活性酸素のなかで最も強力で、細胞を構成する全ての物質を手当たりしだいに酸化して障害を起こします。
また、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)によって炎症細胞から産生される一酸化窒素(NO)スーパーオキシド・ラジカル(O2-が反応すると、ペルオキシナイトライト(・ONOO2-という酸化力の強いフリーラジカルが発生します。ペルオキシナイトライトは炎症疾患における組織の酸化障害や発がん促進の原因となります。(下図)

酸化」するというのは活性酸素やフリーラジカルが、ある物質の持っている電子を奪い取ることを意味します。「酸化」の本来の定義は「電子を奪うこと」なのです。一方、ある物質が別の物質から電子をもらうことを「還元」といいます。フリーラジカルというのは、言い換えれば相手の電子を奪う(酸化する)性質が非常に強い性質のものです。
DNAから電子が奪われると誤った遺伝情報が作られ、がん細胞の発生につながります。DNA以外にも、体の土台をなしている蛋白質や脂肪からも電子を奪い酸化して細胞の機能の障害を引き起こし、ひいては組織や臓器の機能の低下を招いて、がんになりやすい体になるのです。

遺伝子の本体のDNAは活性酸素によって鎖が切れたり、遺伝情報の文字の役目の塩基と呼ばれる部分(A,G,C,Tの部分)がはずれたり、酸化されて変化したりします。グアニン(G)という塩基が酸化されて生じる8-ヒドロキシ-2'-デオキシグアノシン(OHG)がDNAの酸化障害のマーカーとして注目されています。正常の細胞でもOHGが検出され、活性酸素が体のあらゆる部位でたえまなく生成されていることを示しています。老化した動物は若いものより臓器のOHGの量が多いことや、組織のOHGの量ががんが発生するリスクと相関することなどが報告されています。DNAの酸化障害の蓄積ががんや老化と関係していることが示唆されています。
DNAの変異は蛋白質をつくる情報にも異常を起こします。さらに活性酸素は蛋白質自体にも酸化障害を引き起こします。蛋白質を構成しているアミノ酸の中のいくつかは活性酸素によって酸化されてカルボニル化合物という物質に変わります。脳や目の水晶体などの蛋白質のカルボニル化合物の量は老化によって増加することが報告されています。このような異常な蛋白質の蓄積は、蛋白質自体の機能を低下させ、結果として細胞や組織の機能の低下を引き起こします。
脂質が酸化された過酸化脂質は動脈硬化の原因となります。細胞膜の脂質が活性酸素の攻撃で過酸化脂質を生じると膜の性質が変わったり細胞の老化の原因となります。
このようにDNA・蛋白質・脂質など細胞を構成する成分の活性酸素による障害の蓄積が老化を促進する原因として重要であるというのが「老化のフリーラジカル説(エラー蓄積説)」です。

 

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