東京銀座クリニック
 
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概略

ゼニカルは、食事中の脂肪の吸収を阻害する事によって効果を示す、肥満管理のためのリパーゼ阻害剤です。
ゼニカルの一般名Orlistatは(S)-2-formylamino-4-methyl-pentanoic acid (S)-1-〔〔(2S,3S)-3-hexyl-4-oxo-2-oxetanyl〕methyl〕-dodecyl esterという名前を持ち、その構造式はC29 H53 NO5、分子量は495.7です。
ゼニカルは白色〜半透明の結晶性の粉末で、水に不溶で、クロロホルムに自由に溶け、メタノールやエタノールにとても良く溶けます。
ゼニカルは、藍色の硬いゼラチンカプセルで、明るい青色のプリントがされており、経口投与で利用されます。それぞれのカプセルには活性物質として120 mgのOrlistatが含まれています。そのカプセルはまた、不活性な化合物、微結晶セルロース、スターチグリコレートナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポビドン、そしてタルクを含んでおり、それぞれのカプセル自体にはゼラチン、二酸化チタン、FD&C Blue No.1、医療用光沢剤NFが含まれています。

臨床薬理学:作用機序

ゼニカルはリパーゼの可逆的な阻害剤です。その治療効果は胃と腸のリパーゼの活性セリン残基と共有結合を形成する事によって発揮され、小腸と胃でその効果を発揮します。その不活性になったリパーゼは、食事に含まれる脂肪(トリグリセリド)を吸収できるフリーの脂肪酸やモノグリセリドに加水分解することができなくなり、消化されなかったトリグリセリドは吸収されず便として排泄されます。1日3回120 mgずつの服用で、脂肪の吸収を約30%まで阻害します。

薬物動態

ゼニカルの血中への吸収はごくわずかです。同位元素C14で標識した360 mgのゼニカルを経口投与した場合、血漿中の放射能は約8時間でピークに達し、濃度は検出限界に近く5ng/ml以下でした。血中への吸収量は極めてわずかで蓄積性もありません。
犬やラットでの実験結果から、内服したゼニカルのうち、血中に吸収されるのは1%以下と考えられています。

内服したゼニカルのほとんどは糞便中へ排泄され、腎(尿)からの排泄は2%以下でした。内服したゼニカルは3〜5日以内に糞便中や尿から全て排泄されます。血中に吸収されたゼニカルの半減期は1〜2時間の範囲です。

薬物相互作用

薬物相互作用は、ゼニカルがアルコール、グリブリド、ニフェジピン(徐放錠)、経口避妊薬、フェニトインあるいはワルファリンの薬物動態や薬力学に対して影響を持たない事を示しています。
ゼニカルは、プラバスタチンの適度な生物学的利用能の増加および脂質低下作用の増加をもたらします。アルコールはゼニカルの薬物動態に何ら影響を及ぼしません。

用量反応関係

ゼニカルの用量と、胃腸管のリパーゼ阻害作用を示す用量反応曲線は、1日約400 mgまでは急激で、それ以上の高用量ではプラトーに達しました。つまり120 mgを1日3回以上投与しても、効果の増加はわずかだと言えます。


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