東京銀座クリニック
 
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チャーガ(カバノアナタケ)の抗がん作用


【白樺の樹皮・樹液には様々な薬効成分が含まれる】

白樺(シラカバ、またはシラカンバ)は冷涼な気候に生息する樹木です。
白樺の樹皮や樹液にはサポニンや多糖類、アミノ酸、ミネラルなどの栄養分が多く含まれていて、様々な用途に利用されています。
白樺の樹液は人工甘味料キシリトールの原料になり、樹液をそのまま飲料や食品への添加物としても利用されています。また、樹液に含まれる成分にヒトの表皮の保湿を促進する効用があることから化粧品にも利用されています。
白樺の材を乾留して採取したタールを樺木タールや樺油といい、抗菌成分や抗炎症作用をもった成分が含まれ、外用薬として皮膚病や関節炎などの治療に使われています。
日本では白樺の樹液はミネラルなどが豊富とされ、健康食品の素材としても利用されています。
白樺の樹皮に多く含まれるベツリン酸(betulinic acid)には、がん細胞にアポトーシスを誘導する作用や、血管新生阻害作用などが報告されています。betulinic acidの名前は白樺の学名のBetula platyphyllaに由来します。ベツリン酸(betulinic acid)やベツリン(betulin)やその誘導体は、抗がん剤や抗ウイルス剤として開発研究が行なわれています。


【白樺の樹液を養分にして育つカバノアナタケ(チャーガ)】

白樺に寄生するキノコがあります。日本ではカバノアナタケ(樺孔茸または樺穴茸)、外国ではチャーガ(Chaga,Charga)と呼ばれています。
学名はInonotus Obliquusで、タバコウロコタケ科サビアナタケ属のキノコの一種です。白樺の木の幹に寄生し、ロシア、中国、フィンランド、北海道東部などの寒冷地に生成しています。
カバノアナタケは白樺に寄生して内部に食い込み、白樺の樹液を養分として数年〜数十年かけてゆっくり成長していきます。成長が遅いために希少とされ「幻のキノコ」と呼ばれています。
外見は石炭のような黒く硬い塊を形成し、表面は黒くひび割れたような亀裂が縦横に走り、中身は黄褐色です。
10cm〜20cmの大きさになるのに10年以上かかり、最後には寄生した宿木を枯らせてしまう程の生命力を持っています。したがって、「白樺の癌」と呼ばれることもあります。
免疫力を高めるβグルカンなどの多糖類の他、白樺の樹液に含まれるミネラルサポニンなどを濃縮して含んでいます。抗菌作用や抗がん作用をもった成分も見つかっています。白樺樹皮に含まれる抗がん成分として知られているベツリン酸を人体が吸収しやすい形で濃縮して含んでいます。
『毒をもって毒を制する』というのが抗がん剤治療の考え方ですが、チャーガは、『植物の癌で人の癌を治療する』というものかもしれません。


【白樺の癌】

ロシアでは昔から、白樺の全てを利用していました。木材はもちろん、樹皮や樹液や葉などは民間療法にも用いられていました。白樺に寄生するチャーガも、胃腸の状態を良くし、抵抗力を高める効果が知られ、健康維持のための健康茶として古くから飲まれていました。
東ヨーロッパの諸国では、がんや胃潰瘍など様々な病気の民間療法として使用されていることが16世紀ころから記録が残っています。茸の中で、抗がん作用が最も強いという記載もあります。
ロシアのノーベル賞作家ソルジェニーツィンの著書の「ガン病棟」にチャーガががんの民間薬として書かれていることから、がん患者の間で利用されるようになりました。
「ガン病棟」は1955年当時のソビエト社会を背景に、ある総合病院のがん病棟で苦悩する患者たちを描いた生と死の壮大な長編小説で、ソルジェニーツィンの代表作の一つです。その小説の中に「白樺の癌」という章があり、そこにはチャーガについての記述があります。以下はガン病棟(上)新潮文庫(小笠原豊樹訳)p202〜230(11:白樺の癌)からの要約です。

モスクワ郊外のアレクサンドロフ郡の病院に何十年も同じ病院に勤めている医者が、その病院に来る農民の患者にはめったに癌が見られないという事実に気がついた。
そこでその医者は調査を始め、そのあたり一帯の百姓たちは、お茶代を節約するために、茶ではなくチャーガというものを煎じている、ということを発見した。
チャーガは白樺の茸と言われているが、実際は白樺の癌というべきもので、白樺の木に寄生する妙な格好の、表面が黒くて内側は暗褐色の瘤のようなものである。
ロシアの百姓たちは、それとは気づかずに、そのチャーガでもって何世紀ものあいだ癌から救われていたのではなかろうかと、その医師は思った。そして、その医者はチャーガの抗がん作用や、煎じ方や飲み方などを研究し、多くのがん患者を治療した。
図:カバノアナタケ(チャーガ)は白樺に寄生するキノコで、「白樺の癌」といも言われる。ロシアなど東欧ではがん治療の民間薬として古くから使用されている。ロシアのノーベル賞作家のソルジェニーツィンの代表作の一つの『ガン病棟』の中でも記述されている

チャーガの科学的な研究は乏しく、人間での抗がん作用に関する研究はほとんど見当たりません。したがって、チャーガの抗がん作用も、民間療法として使用されてきた臨床経験や体験談のレベルです。
しかし、白樺の樹皮に含まれるベツリン酸などの抗がん成分を濃縮し、キノコに含まれるβグルカンなどの多糖類による免疫増強作用を有していることから、抗がん作用は十分に期待できます。

【ベツリン酸の抗がん作用】

ベツリン酸は、五環系トリテルペノイド(pentacyclic triterpenoid)に分類される成分で、白樺をはじめ多くの植物に含まれています。白樺(シラカバ)の木の皮(樹皮)に多く含まれていて、betulic acidの名前は白樺の学名のBetula platyphyllaに由来します。
ベツリン酸はがん細胞のミトコンドリアの外膜の透過性を亢進させてアポトーシスを誘導する作用が報告されています。正常細胞はがん細胞と比べて、ベツリン酸に対してアポトーシスが起こりにくいので、がんの治療薬として期待されています。
抗がん剤に抵抗性になったがん細胞の抗がん剤感受性を高める効果も報告されています。
例えば、抗がん剤のドキソルビシンに抵抗性になった神経膠芽腫細胞が、ベツリン酸を同時に投与すると、ドキソルビシンが効くようになることが報告されています。
ベツリン酸を構造改変した化合物が、抗がん剤やエイズウイルス(HIV)に対する抗ウイルス薬として開発されており、一部はすでに臨床試験が行われています。
培養細胞を使った実験では、ベツリン酸は抗腫瘍・抗HIV剤として販売されています。
シラカバに寄生するチャーガ(和名 カバノアナタケ、学名 Fuscoporia obliqua)は、シラカバの樹皮に含まれるベツリン酸などの抗がん成分を多く含むことが、抗がん作用と関連していると言われています。
毒物による肝障害から肝臓を保護する効果も報告されています。

図:ベツリン酸は、多くの植物に含まれる五環系トリテルペノイドに分類されるサポニン成分。がん細胞にアポトーシスを誘導する作用や、血管新生阻害作用などが報告されている。


チャーガの煎じ薬(レトルトパック):

1パック(約110ml)中に、チャーガ粉末5g、霊芝粉末5g、オウギ(黄耆)5g、タイソウ(大棗)4g、カンゾウ(甘草)1gを熱水で煎じた抽出エキスを含みます。
タイソウとカンゾウは胃腸を保護し、甘味があるので、チャーガの煎じ薬を飲みやすくします。同時に、タイソウにはチャーガにも含まれる抗がん作用のあるベツリン酸やオレアノール酸も多く含みます。
レイシとオウギは、免疫増強作用のある多糖類や、がん細胞の増殖を抑えるトリテルペノイドなどの抗がん成分を多く含みます。

この煎じ薬は免疫力を高めると同時にがん細胞を死滅させる効果も期待できます。

1パックは500円(税込み)
煎じ薬のパック詰めをご希望の方は、こちら

【チャーガの煎じ薬に含まれる生薬の効能】

構成生薬名
起源、効能・効果


チャーガ

○白樺に寄生するキノコ。和名はカバノアナタケ。
○胃腸の状態を良くし、抵抗力を高める効果が知られ、民間療法として健康維持のための健康茶として古くから飲まれている。
○ 免疫力を高めるβグルカンなどの多糖類の他、白樺の樹液に含まれるミネラルやサポニンなどを濃縮して含み、白樺樹皮に含まれる抗がん成分として知られているベツリン酸を人体が吸収しやすい形で濃縮して含んでいる。


霊芝(レイシ)

○サルノコシカケ科の担子菌類のマンネンタケの子実体(胞子形成のためにつくる傘状の部分)。クヌギなどの広葉樹の根部に生え、傘は腎臓形や半円形をしており、紫褐色で漆状の光沢がある木質状の硬いキノコ。
○滋養強壮、免疫力増強、抗がん作用、肝臓保護作用、白血球増加作用、鎮咳作用など広範な薬理作用が報告されている。
○免疫増強作用をもつベータ・グルカンや、細胞のシグナル伝達系に作用するトリテルペノイドなどを含み、多彩な抗がん作用を示す。


黄耆(おうぎ)
○マメ科のキバナオウギおよびナイモウオウギの根。
○病気全般に対する抵抗力を高める効果があり、高麗人参と並んで補気薬の代表。
○皮膚の毛細血管拡張作用があり、体表の新陳代謝や血液循環を促進し、皮膚の栄養状態を良くし、皮膚の創傷や潰瘍の治癒を促進する。細胞の代謝機能を増強し、再生肝におけるDNA合成を促進する作用がある。
○免疫増強作用があり、抗がん剤治療と併用して、副作用を軽減し、抗腫瘍効果を高めることが多くの臨床試験で確認されている。


大棗(たいそう)

○クロウメモドキ科のナツメまたはその他同属植物の果実
○胃腸虚弱な人の食欲不振・元気がない・疲れやすいなどの症状に、補気薬の補助として用いる。刺激性の強い峻烈な作用を持つ薬物に配合して、薬効を緩和する。
○チャーガと同様に抗がん作用のあるベツリン酸やオレアノール酸のようなトリテルペノイドを多く含む。

甘草(かんぞう)
○ マメ科のウラルカンゾウの根。
○ 主成分はトリテルペノイド配糖体のグリチルリチンで非常に強い甘味があり、ステロイドホルモン様作用・抗アレルギー作用・抗消化性潰瘍作用・免疫賦活作用・抗腫瘍作用・抗変異原抑制作用・抗ウイルス作用など多彩な作用を持っている。
○他の薬の薬性を調和させ、薬効が過剰にならないように緩和させ、副作用の軽減を図る目的や、味をよくする矯味薬として使用される。

 

 
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