魚油は膵臓がん患者の悪液質を改善する 

膵臓がんの患者の多くは、診断後4ヶ月以内に体重が25%減少し、6ヶ月以内に死亡しています。
このような膵臓がん患者にEPAやDHAの豊富な魚油をサプリメントとして与えると、体重減少が抑えられ、延命することが報告されています。

膵臓がんで体重が減るのは、悪液質という状態にあるからです。がん性悪液質というのは、がん組織から産生される腫瘍壊死因子α(TNF-α)やプロスタグランジンなどの作用によって筋肉の分解が促進されたり食欲が低下することによって、体力が消耗していく病態です。
膵臓がんの場合は、痛みや、消化液の産生低下などによっても食欲が低下し、栄養の摂取にも支障がでてきます。消化管の運動や通過が障害されると、吐き気や嘔吐を恐れて食事の摂取が低下してしまいます。このような悪循環に陥ると、栄養摂取が障害され、体力や抵抗力の低下が加速され、死を速めることになります。
膵臓がん患者の85~90%は診断時にすでに悪液質の状態になっていると言われており、多くは6ヶ月以内に亡くなっています。

栄養状態を良くし、悪液質を改善して、体重の減少を防ぐことは、延命につながることが明らかになっています。その目的において、魚の油であるEPAやDHAの補充が有効であることが、臨床試験で明らかになっています。

進行した膵臓がんで緩和治療を受けている場合でも、魚油の補充によって悪液質を改善すれば、QOLを高め延命に有効です。
EPAやDHAはプロスタグランジンの産生を抑え、炎症反応を抑制し、その他様々なメカニズムでがん性悪液質を改善し、体重の減少や体力低下を防ぎ、延命に寄与することが期待できます。
このような効果は膵臓がんだけでなく、多くの進行がんでも期待できます。

DHAについてはこちらへ