非小細胞性肺がんのsecond-line, third-lineの抗がん剤治療について
Second- and Third-Line Treatments in Non-Small Cell Lung Cancer
Current Treatment Options in Oncology, 2006, 7:37-49
Kumar A, Wakelee H. Stanford Cancer Center, Stanford, CA 94305, USA.

非小細胞性肺がんで、first-lineの抗がん剤治療で効果が無くなった場合の抗がん剤治療の総説です。
この論部の中で日本でも使用可能(未認可医薬品も含めて)な抗がん剤を以下にまとめています。

Docetaxel(タキソテール)
 タキソイド系アルカロイド、チュブリン重合促進による細胞分裂阻害 (注射)
○ 75 mg/m2  21日に1回投与
100 mg/m2  21日1回投与 とほぼ同等
 vinorelbine(ナベルビン)やifosfamide(イフォマイド)より奏功率や1年生存率で勝る
 Best Supportive Careと比べて、平均生存期間(7 months vs 4.6 months)、
 1年生存率(37% for docetaxel at 75 mg/m2 vs 19% for BSC)、QOLを改善

○ 33-36 mg/m2 週1回6-8 w週orまたは mg/m2m。ハス毎週 3-4 週
 75 mg/m2 21日1回投与と同等の効果
 骨髄抑制や脱毛は75 mg/m2 21日1回投与より軽いが、真菌症、下痢、呼吸困難はより頻度が高い。
 (weeklyの方法が3週ごとのプロトコールより優れているかどうかの結論はまだ)

Pemetrexed(アリムタ)
 葉酸代謝阻害剤 (注射)、日本では未認可
○ 500 mg/m2  21日1回投与
Docetaxel 75 mg/m2 21 日1回投与 とほぼ同等(やや勝る)
 Response rate ; 9.1% vs 8.8%, Progression-free survival; 2.9 months for both,
Median survivaltime; 8.3 months vs 7.9 months, 1 year survival: 30% for both

違いは副作用;骨髄抑制と脱毛はアリムタの方がタキソテールより軽いが、肝機能障害はアリムタの方が高い。倦怠感、貧血、血小板減少、悪心、嘔吐、胃炎、下痢、発疹、浮腫は同等。ただし、アリムタの副作用はビタミンB12、葉酸の補充でかなり軽減でき、生存期間も延長(アリムタの投与の場合はビタミンB12、葉酸の補充は必須)
アリムタはクレアチニンクリアランスが45 ml/min以下の場合は投与できない
NSAIDs(COX-2阻害剤も含めて)は、アリムタを投与する前後2日間は服用を中止する

Erlotinib(タルセバ)
 EGRR-TK阻害剤 (内服)、日本では未認可
○ 150 mg/日
BSCと比べて、response reta; 8.9% (vs <1%)、Progression-free survival; 2.2 months (vs 1.8 months), Median survival time; 6.7 months (vs 4.7 months), 1 year survival; 31% (vs 22%) ()内はBest Suportive Careの場合
 アジア人女性、喫煙歴なし、腺がんの場合には効果があらわれる率が高い

Gemcitabine(ジェムザール)
 DNA合成阻害 (注射)
○ 1000-1250 mg/m2  weekly for 2 or 3 weeks, followed by 1 week off
Response rateは7- 21 %, median survival; 22-36 weeks, 1 year survival; 45%

Irinotecan(トポテシン、カンプト)
DNAトポイソメラーゼI阻害剤、アルカロイド (注射)
日本ではよく使用されているが、北米や欧州ではあまり使用されていない
副作用の割りに奏功率が低い 

Topotecan
DNAトポイソメラーゼI阻害剤 (注射と内服)
小細胞性肺がんや卵巣がんでよく使用される
内服のTopotecan(2.3 mg/m2 daily for 5 days every 3 weeks; n=414)とdocetaxel(75 mg/m2 every 3 weeks, n=415)を比較するフェースIIIでは、ほぼ同等の効果が得られている

Vinorelbine(ナベルビン)
チュブリン合成阻害 ビンカアルカロイド (注射)
単独あるいは白金製剤と併用してfirst-lineの治療として使用されるが、second-lineの治療薬としては限界がある。
TAX320 trialではdocetaxelに劣り、response reteは1%以下、1year survivalは19%(docetaxelは37%)
以上の結果より、vinorelbine単独投与は非小細胞性肺がんのsecond-lineの治療薬としては効果が期待できない

Combination cytotoxic therapies

○ Irinotecan + gemcitabine

response rate 18% (irinotecan alone; 4%)

○ docetaxel + gemcitabine or irinotecan or vinorelbine
いづれの組合せもdocetaxel単独の効果を超えることはできなかった

細胞毒性を持つ抗がん剤の併用は、second-lineの非小細胞性肺がんの治療としてはエビデンスがない。


Combination of erlotinib with cytotoxic therapies

Erlotinib(タルセバ)と細胞毒性をもつ抗がん剤の併用は、非小細胞性肺がんのfirst-lineの治療には有効ではないことが示されている(erlotinibに抗がん剤を併用しても上乗せ効果が無いこと)
これはerlotinibによって癌細胞がG1 arrrestによって細胞周期が停止するので、細胞分裂依存性の抗がん剤の効果がでにくいからである。
現在、erlotinibのパルス投与と、docetaxelやpemetrexedの併用が検討されている
これは、EGFR-TK阻害剤を間歇的に投与することによってTK阻害効果を分離して、抗がん剤の効き目を高めることができるかもしれないという仮説も基づく

Bevacizumab(アバスチン)
 血管内皮細胞増殖因子に対するモノクローナル抗体、日本では未認可

進行した非小細胞性肺がんのfirst-lineの抗がん剤と併用して有効
second-lineの治療における有効性の検討が行なわれている

○bevacizumab 15 mg/kg every 3 weeks + erlotinib 150 mg daily
partial response 20 % (8/40)、stable disease 65% (26/40), median survival; 12.6 monnths
1 year survival; 52%

○ docetaxel + bevacizumab, docetaxel + erlotinib, docetacel aloneの3つの治療法を比較する臨床試験が行なわれている

Sorafenib(Nexavar)
 Raf kinase, VEGF, PDGF, c-kitなどに対するmultikinase inhibitor (内服)、日本では未認可
 進行腎臓がんで有効性が認められているが、進行肺がんに対しても有効性を示唆するデータ
 が出ている。
 Docetaxel, pemetrexed, erlotinibなどとの併用が検討されている。


Cetuximab(アービタックス)
 EGFRに対するモノクローナル抗体、日本では未認可
 Response retaは3.3%, median time to progression; 2.3 month,
median survival; 8.3 months, 1 year survival; 43 %

 
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