東京銀座クリニック
 
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1. プラセンタとは:

プラセンタ(Placenta) とは胎盤 のことです。 胎盤は、1個の受精卵からおよそ10ヶ月で60〜70兆個まで細胞を増殖させ、胎児を成長させる臓器です。従って、胎児細胞の成長に必要な様々な栄養成分や活性物質が含まれており、胎盤の薬効は古くか ら注目されていました。
とりわけ 滋養強壮薬若返りの薬 として珍重されており、古くは楊貴妃、クレオパトラ、マリー・アントワネットも好んで飲用していたと言われております。中国では不老長寿の薬、滋養強壮薬として古くから珍重されており、秦の始皇帝が不老長寿の妙薬の一つとして使用したと言われています。明の時代の本草書「本草綱目」には「紫河車」の名前で紹介され、肉体的および精神的な疲れや衰えに対して効果のある滋養強壮の漢方薬として珍重されています。
また、動物たちが、出産後胎盤を食べてしまうのは栄養に満ちた胎盤を食べて出産後 の体力回復に役立てているのだと言われています。

2. プラセンタ・エキス療法とは:

プラセンタ・エキス療法(プラセンタ療法) とは、胎盤より抽出された成分(ヒト胎盤繊毛分解物の水溶性物質)を注射していろいろな疾患の治療に使う治療法です。
プラセンタの効能は古くから医学の面でも応用され、日本でも、プラセンタの有効成分を抽出した注射薬が昭和30年頃より開発され、治療薬として使用されてきました。動物実験やその他から、細胞呼吸促進作用があり、細網内皮系を賦活し、創傷治癒を促進し、抗疲労作用があり、肝機能障害を改善する薬として、厚生大臣認可のもと医療現場で使われ現在も需要が継続しています。
プラセンタ・エキス療法で使用する薬は医薬品として認可されている ヒト胎盤エキス製剤 です。
医薬品として販売されている「 メルスモン 」(製造:メルスモン製薬株式会社)あるいは「ラエンネック」(製造:株式会社日本生物製剤)を皮下に注射します。
「メルスモン」は 更年期障害乳汁分泌不全 の治療薬して、「ラエンネック」は肝硬変などの肝機能障害の治療薬として保険適応となっています。組織を活性化し、皮膚を若々しくするので、保険外で美容の目的でも使用されています。

医薬品としての長い使用経験の中で、副作用が極めて少ないことで知られています。ところが、副作用が少ない反面、効果が緩やかで治療結果を急ぐ医者達が敬遠し、一時的に忘れ去られた時期もありましたが、いろいろな疾患にゆっくりではありますが、確実な効果を現すため最近再び注目をあびています。
若返りや滋養強壮目的では保険がきかないので 自費診療 になります。

■費用: 皮下注射(1アンプル2cc):1050円(税込)

メルスモン
ラエンネック

■注射の頻度: 週二回程度の注射で、高い効果を得ることが可能です。また、それ以下でも効果は期待できますので、ご自分のペースに合わせて治療していただいて構いません。 効果が得られ、症状が落ち着けば週一回程度の注射を維持することをお勧めします。
通常、1回に2アンプル(両方の上腕に皮下注射)を週1回を推奨しています。

◎経口用のプラセンタについてはこちらへ

3. 胎盤の中に含まれている有効成分:

1アンプル(2mL)中にヒト胎盤繊毛分解物の水溶性物質が100mg入っています。(無痛化剤としてベンジルアルコールが0.03ml含有)
ヒト胎盤繊毛を酸で分解しているため、蛋白質やホルモンは含まれていません。主な成分は核酸関連成分、アミノ酸、ミネラルなどです(下表)。

核酸関連成分: ウラシル、アデニン、グアニン、チミン、シトシン
アミノ酸: リジン、アラニン、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、グリシン、バリン、セリン、チロシン、フェニルアラニン、スレオニン、アルギニン、プロリン、シスチン、イソロイシン、メチオニン、ヒスチジン
ミネラル: ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄
その他: キサンチン

ベンジルアルコール(無痛化剤)-----0.03mL。
タンパク質、脂質、糖質、ミネラル、ビタミン、アミノ酸、様々な酵素、各種成長因子(肝細胞増殖因子、神経細胞増殖因子、上皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子、コロニー形成刺激因子、インシュリン様成長因子、インターロイキンなど)

4. プラセンタ療法の効果とは:

更年期障害や肝障害の患者さんにプラセンタを投与し続けているうちに、その他の効果(疲れがとれる、よく眠れるようになる、顔色が良くなる、肌がしっとりする、シミがとれる、風邪にかかりにくくなる、月経不順や月経困難症が治る、アトピー性皮膚炎やリウマチが治る等の効果)が認めらています。
古くから使われている薬で、効果はマイルドですが、数回の注射を繰り返すうちに確実に効果が現れてきます。特に疲れがとれる、よく眠れるようになる、肌がしっとりする、体調が良くなる等の効果は、2〜3回の注射で効果が現れている人がほとんどです。
肌がきれいになるという報告を受け、美容皮膚科が治療のひとつとして取り入れはじめています。下記のような効能があることが、つぎつぎと明らかになっています。

プラセンタの薬効
効果のある症状
ホルモン分泌調整作用 更年期障害・生理痛・生理不順・乳汁分泌不全
血行促進作用 冷え性・肩こり
新陳代謝促進作用 美白・美肌・減量・むくみ
抗アレルギー作用 花粉症・難治アトピー性皮膚炎・喘息
肝臓機能強化作用 肝炎・肝硬変・脂肪肝・二日酔い
免疫賦活化作用 風邪などの感染症の予防
抗酸化作用 シミ・しわ
自律神経調節作用 不定愁訴
滋養強壮作用 疲労・倦怠・食欲不振

5. 副作用:

副作用はほとんどありません。しかし全くないわけではありません。稀にアレルギー性の副作用が起こることがあります。
軽微な副作用としては、「 注射部位の発赤、疼痛 (調査症例中5%程度:1〜2日で回復)、「 注射部位の上肢のだるさ、重たい感じ (調査症例中0.5%程度:半日ぐらいで回復)」、「 吐き気、全身倦怠感 (ごくまれ:半日ぐらいで回復)」などが挙げられます。いずれも、すぐに治り、その後は体が軽くなり、体調が回復します。可能性としては、アレルギー性のショックを起こす副作用はありますが、極めて稀です。
このように副作用の非常に少ない注射ですから、患者さんは注射当日も、入浴をはじめ、運動・飲酒など、過度でなければ普段通りで構いません。

安全性について】
胎盤製剤「メルスモン」の安全性については国内の、感染のない健康なヒト胎盤を原料とし、酸で加水分解し、最終滅菌(121℃ 30分間)するなど、感染症に対する安全対策が講じられています。ホルモン、たんぱく質は含有しておらず、理論的には、ウイルス感染やプリオン感染の可能性はなく、これまで、細菌やウイルス等による感染の報告はありません。
しかし、未知のウイルスやプリオン等の危険を完全に排除することは困難であるため、特定生物由来製品としての「患者への説明」「記録の保存」が行われています。(平成15年7月30日改正薬事法施行)
ヒトプラセンタの注射の使用歴がある方は、献血や臓器移植の提供者となれない場合があります。

【注】プリオンは蛋白質から成る感染性因子で、狂牛病(ウシ海綿状脳症)クロイツフェルト・ヤコブ病の原因となっています。このようなプリオン病の感染を防ぐため、メルスモン製薬では、胎盤を提供してくださる方に対して狂牛病が流行した英仏などへの海外渡航歴について問診を実施しています。問診の結果問題のある方の胎盤は原料として使用しておりません。さらに、製造工程において、塩酸による高熱の加水分解を実施しています。これによりホルモンおよび蛋白質は分解されています。
したがって、理論的には、現在知られている感染性疾患を引き起こす可能性は無いといえます。しかし、未知のウイルスやプリオン等に由来する感染症のリスクを理論的には完全に排除することは困難です。したがって、その可能性が理解した上で、プラセンタ・エキス療法を受ける必要があります。

メルスモンの薬効薬理:

1. 組織呼吸促進作用
ラット肝臓の組織呼吸に及ぼすメルスモンの作用をワールブルグ法にて測定の結果、メルスモンは生理食塩液の約5.7倍の呼吸促進作用を認めた。

2. 創傷治療促進作用
ラットを用いた実験的火傷において、メルスモンは対照に比較し創傷治癒促進作用を示した。

3. 抗疲労作用
マウスによる水中遊泳疲労試験において、メルスモンは抗疲労性を認めた。

4. 硝子体及び球結膜下出血の吸収促進作用
ウサギの眼球の硝子体及び球結膜下に対し実験的出血をおこし、その吸収促進作用を観察した結果、メルスモンは対照に比較して出血吸収促進作用を示した。

メルスモンの臨床成績:

1. 更年期障害 (*1)
更年期障害患者31例を対象に、本剤1回1管を1週間に3回、2週間継続して合計6回皮下投与したところ、有効率77.4%(24例/31例)を示した。また、プラセボとの比較試験の結果、本剤の有用性が認められた。

2. 乳汁分泌不全 (*2)
初産の褥婦67例を対象に、本剤1回1管を1日1回、産褥第1日より5日間連続して皮下投与したところ、有効率68.6%(46例/67例)を示した。また、プラセボとの比較試験の結果、本剤の有用性が認められた。

(*1)唐沢 陽介ほか:薬理と治療  9(3)299〜308,1981
(*2)唐沢 陽介ほか:基礎と臨床 15(3)661〜670,1981

ラエンネックの薬効薬理

1. 肝再生促進:正常ラット肝臓の70%を部分切除後、肝重量を経時的に対照群と比較した結果、本剤投与群は、肝再生を有意に促進した。

2. 肝細胞DNA合成促進作用:ラットの初代培養肝細胞を用いたin vitro実験系において、本剤を2μL/mL加えた群は、対照群に比較して有意なDNA合成促進を示し、それはrHGF 10pMと同程度の促進活性であった。また、ANITにより急性肝炎を惹起させたラットを用いたin vivo実験系の肝臓組織を染色し、DNA合成期の肝細胞核の割合を評価した結果、本剤投与群は対照群に比較して有意にDNA合成促進を示した。

3. 実験的肝障害抑制作用:ANITにより急性肝炎を惹起させたラットを用いたin vivo実験系で、本剤を投与した群は対照群と比較して血清中肝逸脱酵素(GPT,ALP,LAP,γ-GTP)及びビリルビン値を顕著に低下させた。
また、四塩化炭素により急性肝炎及び慢性肝炎を惹起させたin vivo実験系で、本剤を投与した群は対照群と比較して血清中肝逸脱酵素(GPT,GOT)を顕著に低下させ、肝の病理組織学的に肝障害改善を示した。

4.抗脂肝作用:前もって本剤1.2mL/kgの皮下注射を5日間行ったラットに四塩化炭素で急性肝障害処置を行った結果では、体重に対する肝重量が対照群に比べて有意な低下が見られ、3.6mL/kgの投与群では肝総脂質、肝総コレステロールの有意な低下と、それを裏付ける肝組織所見が認められ、体重も順調に推移した。
また、あらかじめ四塩化炭素で急性肝障害処置をした後、本剤1.2mL/kgを5日間皮下連続投与したとき、生化学的所見は対照群と有意差はなかったが、3.6mL/kg投与量群では肝組織学的所見において、対照群と比べて肝の小葉構造の保持が良好であった。

5.間質結合織の吸収促進作用:四塩化炭素を12週間連続投与して生じるラット肝の線維増殖に対して本剤は抑制作用を有し、また、一旦増殖した間質結合織も吸収することが組織学的に確認された。

ラエンネックの臨床成績

1. 慢性肝炎及び肝硬変症に対する二重盲検比較試験

本剤の慢性肝炎及び肝硬変症に対する効果をcross Over法による二重盲検査試験法で全国124例を対象にして実施した結果、本剤投与により血清トランスアミナーゼ(GOT,GPT)値が有意に改善されることが認められた。

2. HCV-RNA量に対する作用

過去に20例の強ミノCとアセラートのみの2剤併用療法を実施しているが、それらの20例についてはC100-3抗体およびHCV-RNAの陰性化は共に認められなかった。ラエンネックを加えた3剤併用療法にて、2例の血中HCV-RNAの陰転を認めた。

 
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